「空間をメディアとして語らせる」
2004年 08月 12日
■ 思いの一滴 第一回「空間をメディアとして語らせる」2001年12月1日
それにしてもなぜあんなに人々が押し寄せるのだろうか? どうしてあんなにカップルが多いのだろう? こんなに不況なのに・・・同時多発テロだというのに・・・。
ここは、クイーンズスクエア横浜という複合施設の中央モールでの眺めである。桜木町駅から横浜港にかけ近年再開発され、いかにもモニュメンタルなランドマークタワーの足下に、ランドマークプラザとクイーンズスクエアーという日本でも有数のショッピングモールが軒を連ね、先端ファッションの覇権を争っている。

今年、私はクイーンズスクエアー横浜の真ん中にある巨大なアトリウムでクリスマスシーズン向けの空間装飾を担当した。ここのアトリウムは、明るく開放的で、きわめて居心地がよい。幅50m、奥行き30m、高さは地下4階の最深部から天井まで50mという規模で、国内でも最大規模である。いくつかの大胆なアートワークと真っ赤なエスカレーターや深緑のシースルーエレベーターなどが白を基調にしたアトリウムに小気味よいコントラストをもたらしている。空間そのものがすでにアートとして成立していて、おそらく世界で最もファッショナブルでモダンなスペースの一つであるといえるだろう。
私の取り組みは、ほぼ完成されたこの空間をさらに演出し、クリスマスの宗教的な崇高性と、年間最も人出と売り上げが多いこの時期の商業的な高揚感を醸し出す機能が、両立した空間に変容させるということである。空間をコミュニケーションメディアとしてデザインし直し語らせる、というのが私のプロとしての仕事なのである。今回は幅2.2mの難燃ポリエステルの布地を赤白に染め上げ、総延長700mを天井トラスからつり下げ構成した大型リボンのような曲線を生かした造形で、アトリウムの広さとボリュームをさらに強調した。その空間本来の豊かな量感と崇高感を観客に感じてもらい少しでもリッチな気分を味わってもらえれば成功である。

そもそもキリストの降誕祭であるクリスマスが日本に定着したのは、土着の冬至祭の時期と重なり、違和感が少なかったという事と、もう一つ、宗教の戒律や教義よりも、スタイルやファッション、お祭りを好む柔軟な姿勢が作用しているようだ。原理主義とは全く逆で、いいとこ取りで現世利益の追求が最も多くの人々を幸せにする結果につながるということの理解である。
一見、無責任で無節操のようであるが、実はこの柔軟性と多くの価値を取り入れる、なによりさまざまな事に興味を示し面白がるという感性こそが、世界でもまれな幸せな国「日本」を形成する基盤となっているように思えてならない今日この頃である。
ヤマザキミノリ
■作品サイト 1 ヤマザキミノリのインターネット美術館-1 空間デザイン、環境造形、展示設計"Christmas Decoration, Display Design, Public Art, Installation, Art works"
■作品サイト 2 ヤマザキミノリのインターネット美術館-2 ライトアート、立方体万華鏡、オブジェ、インスタレーション"cumos, Light art, CG, Installation"
それにしてもなぜあんなに人々が押し寄せるのだろうか? どうしてあんなにカップルが多いのだろう? こんなに不況なのに・・・同時多発テロだというのに・・・。
ここは、クイーンズスクエア横浜という複合施設の中央モールでの眺めである。桜木町駅から横浜港にかけ近年再開発され、いかにもモニュメンタルなランドマークタワーの足下に、ランドマークプラザとクイーンズスクエアーという日本でも有数のショッピングモールが軒を連ね、先端ファッションの覇権を争っている。

今年、私はクイーンズスクエアー横浜の真ん中にある巨大なアトリウムでクリスマスシーズン向けの空間装飾を担当した。ここのアトリウムは、明るく開放的で、きわめて居心地がよい。幅50m、奥行き30m、高さは地下4階の最深部から天井まで50mという規模で、国内でも最大規模である。いくつかの大胆なアートワークと真っ赤なエスカレーターや深緑のシースルーエレベーターなどが白を基調にしたアトリウムに小気味よいコントラストをもたらしている。空間そのものがすでにアートとして成立していて、おそらく世界で最もファッショナブルでモダンなスペースの一つであるといえるだろう。
私の取り組みは、ほぼ完成されたこの空間をさらに演出し、クリスマスの宗教的な崇高性と、年間最も人出と売り上げが多いこの時期の商業的な高揚感を醸し出す機能が、両立した空間に変容させるということである。空間をコミュニケーションメディアとしてデザインし直し語らせる、というのが私のプロとしての仕事なのである。今回は幅2.2mの難燃ポリエステルの布地を赤白に染め上げ、総延長700mを天井トラスからつり下げ構成した大型リボンのような曲線を生かした造形で、アトリウムの広さとボリュームをさらに強調した。その空間本来の豊かな量感と崇高感を観客に感じてもらい少しでもリッチな気分を味わってもらえれば成功である。

そもそもキリストの降誕祭であるクリスマスが日本に定着したのは、土着の冬至祭の時期と重なり、違和感が少なかったという事と、もう一つ、宗教の戒律や教義よりも、スタイルやファッション、お祭りを好む柔軟な姿勢が作用しているようだ。原理主義とは全く逆で、いいとこ取りで現世利益の追求が最も多くの人々を幸せにする結果につながるということの理解である。
一見、無責任で無節操のようであるが、実はこの柔軟性と多くの価値を取り入れる、なによりさまざまな事に興味を示し面白がるという感性こそが、世界でもまれな幸せな国「日本」を形成する基盤となっているように思えてならない今日この頃である。
ヤマザキミノリ
■作品サイト 1 ヤマザキミノリのインターネット美術館-1 空間デザイン、環境造形、展示設計"Christmas Decoration, Display Design, Public Art, Installation, Art works"
■作品サイト 2 ヤマザキミノリのインターネット美術館-2 ライトアート、立方体万華鏡、オブジェ、インスタレーション"cumos, Light art, CG, Installation"
by ardest
| 2004-08-12 22:42
| comments