(c) 2016 Minori Yamazaki -Japanese Artist-


by ardest

高野山東京別院マンダラパビリオン ●総合的な世界観

●総合的な世界観
 さっそく打ち合わせ。S氏いわく、涅槃の境地、解脱を感じる空間、非日常な悟りの世界をつくりたいとのこと。真言密教の思想、およびコスモロジーを空間化、パヴィリオン化するという課題だ。総予算約一億円。「ネハン、ゲダツ、サトリ?え、イチオクエン!」頭をひねってばかりはいられない。すばやくリサーチ。
 密教思想をひとことでいえば、大宇宙と個我の同一性ということになる。山川草木、国土は皆、仏性をもっているともいう。人間は、宇宙に包み込まれているが、人間ひとりひとりのなかにもまた、大宇宙が同時に存在する。ミクロコスモスは、本質的にマクロコスモスにほかならないのだという、まことにトータルな思想なのである。「フムフム……」。
 この総合的な世界観が密教の特徴で、近代西欧文明の、どちらかというとぎこちない分析的、絶対的な価値観になれてしまったわれわれに、もっとゆったりとした、全体的なものの見かた、直感的、感覚的なものの把握法を教えてくれる。現代人に欠けている自然との連帯感、宇宙との一体感といった、原初生命のパワーを取りもどすという意味で、いま密教が新鮮さをもちえるようだ。「ナルホド!」。

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曼荼羅パビリオン
高野山東京別院落慶記念法要 マンダラパビリオン1998
デザイナー:ヤマザキミノリ 芸術本舗文殊
プロダクション:ゼンザブロウ、施工:清水舞台、 制作:電通

by ardest | 2004-07-29 01:16 | 高野山マンダラパビリオン