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by ardest

ユニバーサルアート 立方体の不思議箱

二泊三日で博多と太宰府に行ってきました。結婚25周年、銀婚式の旅行転じて、なんと懐かしい立方体万華鏡キューモス(cumos)がきっかけで広がった万華鏡ワークショップをたずねるトリップとなりました。

↓「UPAふくろうの会」の太宰府ワークショップで制作された「不思議アートの万華鏡」をのぞき込む園田高明博士(右)とヤマザキミノリ
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九州大学先導物質化学研究所の園田高明助教授が主宰する「UPAふくろうの会」という組織が過去三年間、福岡を中心に、老若男女が参加できる手作りワークショップとして、「不思議アートのぞき箱」普及運動を展開していました。




九州、秋田や静岡、東京といった国内各所に限らずドイツのミュンヘンやポーランドのクラクフでもワークショップを開いてきていたのです。という経緯があって、会ではずーっと立方体万華鏡のルーツを探していたのでした。そして昨年9月にやっとオリジナル制作者のヤマザキにたどり着いたという訳です。
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園田博士は、誰でも制作に参加できるようにポリカーボネイト製のミラーを使って、加工と組み立てがしやすい仕組みを確立されていました。材料を一括仕入れし、原価を抑え、角から覗く方法で立方体の三面に様々な絵を描けるタイプです。およそ2時間のワークショップは、参加費も1000円で10センチの不思議な覗き箱を仕上げることができるようになっています。科学館イベントや地域コミュニティーのみならず、小児病棟やホスピスなどでハンディを背負った人達も創ることのできる方法です。

オリジナルなパターンをデザインして不思議箱を制作し、一つしかない自分の作品とすることで、生きる喜びにつながるという、確かな実績を上げて来られていることに、32年前にこの箱の仕組みを考えた私は正直驚き興奮しました。園田先生は、これはまさにユニバーサルアートのプロジェクト(UPA)であると定義しています。

確かに、鏡にエッチングされた透過光が織りなす無限パターンは、手書きスクラッチの無造作な有機性と無機的な反射の法則性とが相まって、誰が描いてもそれなりの美しさと完成度を見せてくれる仕組みなのでした。
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私自身は、大学1年の指導教官である田中芳郎先生から与えられた課題を拡大解釈して作った最初の立方体万華鏡cumos(キューモス)を逆に褒められ刺激されて、その後に続く創作の出発点としてcumosを捉えることができたのでした。先生からは「一人で覗く」箱から「みんなで見る」オブジェへ、そして「その世界の中に入る」ことのできる空間装置へ発想を拡げてみてはどうかと指導されました。

大学時代は「一人で覗く箱」止まりだったものも卒業後、デザイナーや造形作家としての仕事の機会に恵まれ「みんなで見る」オブジェや、「入ることの出来る」空間デザインとしてホップ、ステップ、ジャンプで、バリエーションを膨らませてきたつもりでした。でも、光りのオブジェや大がかりな空間演出の仕事は、それなりの予算が掛かり、一時は大勢を巻き込みますが、いつしかビジネスライクに仕事を考えてしまい、理念というかコアなコンセプトを見失う事が多くなっていたのも事実です。

なんというか、いわば創作倦怠期を迎えていた私に、大事な創作の原点は立方体万華鏡cumosにあったのだということを今回の福岡旅行は教え諭してくれたようです。これからは、UPAふくろうの会のユニバーサルアート普及活動の理念と呼応して、わたしの不思議な覗き箱キューモスをさらに不思議にしていこうと思うのでした。
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わたしの「ファンナコッタ!」ライフブログにも関連記事を書いています

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by ardest | 2007-02-24 11:24 | CUMOS立方体万華鏡