(c) 2016 Minori Yamazaki -Japanese Artist-


by ardest

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美術出版社[デザインの現場] 1988        [メディア掲載アーカイブ]
「空間の表現者たち」特集掲載記事
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●高野山との出会い
 昨年九月、事業拡大をめざして新事務所を代々木上原に開設し、まもなく名称を芸術本舗文殊と決めた。メンバーのヤマザキ、森村均、姉歯公也が、芸大出身というアカデミズムに対するアイロニーと、今日の高付加価値で多種多様、かつ総合的なデザインビジネス、イヴエントビジネスに対する果敢なる挑戦の意味を込めて命名したっもりである。ようするに、おもしろくて前向きなことならなんでもやる気の事務所である。
 半月ほどたったある日、電話がなった。「ヤマザキさん、高野山の落慶記念イヴェント、やりませんか」。有名なプロデューサーS氏の声である。「高野山のイヴェント?やります!なんでもやります!おまかせください」ということで、港区高輪にある高野山東京別院という、真言密教のお寺の仕事が飛び込んできたのだ。文殊に高野山。なんという巡りあわせだろう。事務所開設以来、唱えていた「仕事どんどん無限依頼、お金ざくざく無限供給」の「文殊教」の御利益が現実になってしまったのだ。愚か者でも、三人よれば文殊の知恵、というあの諺を拝借したまでのことだったのに、アー願ったりかなったり。

●総合的な世界観
 さっそく打ち合わせ。S氏いわく、涅槃の境地、解脱を感じる空間、非日常な悟りの世界をつくりたいとのこと。真言密教の思想、およびコスモロジーを空間化、パヴィリオン化するという課題だ。総予算約一億円。「ネハン、ゲダツ、サトリ?え、イチオクエン!」頭をひねってばかりはいられない。すばやくリサーチ。

 密教思想をひとことでいえば、大宇宙と個我の同一性ということになる。山川草木、国土は皆、仏性をもっているともいう。人間は、宇宙に包み込まれているが、人間ひとりひとりのなかにもまた、大宇宙が同時に存在する。ミクロコスモスは、本質的にマクロコスモスにほかならないのだという、まことにトータルな思想なのである。「フムフム……」。

 この総合的な世界観が密教の特徴で、近代西欧文明の、どちらかというとぎこちない分析的、絶対的な価値観になれてしまったわれわれに、もっとゆったりとした、全体的なものの見かた、直感的、感覚的なものの把握法を教えてくれる。現代人に欠けている自然との連帯感、宇宙との一体感といった、原初生命のパワーを取りもどすという意味で、いま密教が新鮮さをもちえるようだ。「ナルホド!」。
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●両界曼陀羅と五大
 真言密教には、両界曼陀羅と五大という、たいへん意味深いふたつのテーマがある。そして、両堺曼陀羅の宇宙観の対比関係が、ひじょうにおもしろいのだ。

 胎蔵界曼陀羅は、母親が胎児を慈しみ育てるような、仏の慈悲の心で衆生を救済する精神。暖かく、愛に満ちた子宮=宇宙そのものといった世界観。これにはドーム空間をあててみた。曲面体、球体を利用することで、床周辺からの天上界全体への調光や、包み込まれるようなメロディー中心の音場設定など、環境演出が可能となるからだ。おまけに、レーザー光線のスキャニングにもつごうがよい。これらによって観客に、あたかも胎児が子宮壁を垣間見ているかのような視点、あるいは宇宙と個我との一体感を提供しようというのが、最大の狙い目である。

 対照的に、金剛界はピラミッドのような直面的、構築的な空間感だ。事実、ピラミッド型パヴィリオンで、内面をぜんぶ鏡張りにすることにより、結晶構造のように四方へ拡がる異次元空間、クリスタルラビリンスが表現でき、ダイヤモンドのように堅固な悟りの心を表せる。色彩としては冷たい暗緑色、サウンドとしては、規則的に繰り返すリズム。床に置かれた、九つの台形に組み込まれたモニターが、デジタルな光となって、ミラーに反射を繰り返す。論理的な知恵と精神。規則正しい透明感と統一感、といった金剛知の世界が具現できたと思う。

 五大とは、地・水・火・風・空いう宇宙を構成する五つの要素のことで、お墓にある五輪塔は、まさにそれを表したもの。ふたつのメインパヴィリオンをむすぶ回廊を、それぞれ風の回廊、水の回廊、地の回廊になぞらえてみた。そして入り口には、九会の映像のメインモチーフ、「サヌカイト」という二、三万年前にできたひじょうに緻密な岩をディスプレイし、物言の始まりを予感させた。と、ともにそれが胎児となり。仏の慈愛をうけ、やがて金剛知の悟りを開き、最後に五大となって宇宙へ帰っていく、という輪廻観をテーマにしたストーリー展開から、出口のホワイエには、五色の御影石でつくった五大を置いたのだった。

●空間演出の手法

 今回の仕事は、このような真言密教の宇宙観を、言葉や絵図によらず、ひとびとに、ただ通りすぎるだけでそれを感じとらせる、悟らせてしまうという空間演出の試み、ということになる。手法としては、当然、光、映像を動員し、それらをハイテクによって制御することになる。けれども、なかにはお寺にハイテクやイヴェントは似含わないよ、というご意見の方もいる。しかし考えてみると、平安の昔においてもそれ以前でも、寺院や宗教儀礼というものは、その時代の最先端技術と文化の粋を結集したもので、もっともはでなエンタテイメントだったはずだ。

 いつの時代でも、歴史に残っていくものは、その時代を先取りしているものだと思う。そういう意味で、現在可能な先端テクノロジーやメディアを、「道具」や「媒体」として使っていくことに、なんらこだわりはない。いまだからこそ使える、素材や技法を駆使していく。現代に生きることの特権を最大限に利用していく。これこそ創造の醍醐味であるし、基本だと思うわけである。

 イヴェントプロデュースは、その規模や動員、波及効果から、現代のもっとも先端の総合芸術といえるのではないだろうか。そして文殊としては、こういった形態の催しに参加できることに、最大の喜びと興奮を感じてしまうのである。
[文責一ヤマザキ、ミノリ]

この項撮影=T.Nakasa & Partnaers [ただし♥中川道夫、◆=ヤマザキミノリ]
by ardest | 2006-08-23 19:49 | 高野山マンダラパビリオン
■ デザインの現場 DG-028-06 1988年 特集-空間の表現者たち-
 ヤマザキミノリと芸術本舗文殊(5p)、田中俊行、宮崎倉治、劇団転形劇場、PHスタジオ、飯島直樹、熊井恭子、他 1,000円


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■ 美術手帳 NO.569 1986/10
表紙にcumos立体万華鏡内部映像作品がありました。なんとGoogleのイメージ検索で発見。すっかり忘れていました。それにしても浅田彰氏と森岡さんの対談が掲載されているのですね。ちょうど20年も前ですね、驚き!
表紙:ヤマザキミノリ // 『 特集:ハイテック・アートの現在形 』開かれた回路へ:浅田彰×森岡祥倫 / 新感覚・新芸術・新世界のためのプロローグ / 新しい美学 / “ひと成長時代”の第四次産業 / 光と放電:生命記憶の原風景として / 限りなく感性に近く / テクノ・シュルレアリスム / なぜなら私は男である / ネジとスウィッチ / 二つの認識のドッキング // 『 特集:ターナー事典 』きっとためになる四十一章 // 展覧会〜モーリス・ルイス:創造への解体〜 // 作家訪問〜遠藤利克:立ち昇る非形態〜 // ALL THAT ART〜瀧川嘉子:光の狩人〜 // アート・リーディング〜水のキュビズム:ホックニー小論〜 // 世界の美術館:ダーレム美術館 他古本ネット販売のサイト


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■ AXIS vol.5 1982年10月 定価1,050円
フォーカスインというコーナーで見開き2ページでした。

特集●デザイン進化論 AXIS Vol.5
固定した様式からの逸脱、メンディ−ニ、コラ−ニ他
デザイン・コレクション:スタンド照明のいろいろ/スペシャル・インタビュ−:マイケル・グレイブスに聞く/アジア造形紀行/フォ−カス・イン:ヤマザキミノリの無限宇宙 ……他


 Minori Yamazaki's Internet Museum  ヤマザキミノリのインターネット美術館 Internet Museum of MINORI YAMAZAKI
by ardest | 2005-04-05 12:34 | 展示と掲載等資料
[作品アーカイブ:空間&ディスプレイデザイン]
毎年東京で開催されている群馬県桐生市のテキスタイルプロモーションショウ。
写真は1994年の原宿クエストホールでの展示。
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ディスプレイデザインを1992~1994までの三年間担当した。単なるディスプレイではなく会場空間全体の有り様の設計を心がけた。
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クライアント=桐生市織物協同組合
ディレクション=桐生地区地場産業振興センター
総合プロデューサー=坂口昌章
プロデュース=アウラ
空間デザイン=ヤマザキミノリ
会場は、原宿クエストホール

●MINORI YAMAZAKI HP
by ardest | 2004-10-17 10:27 | Space&Display Design
■1996年 東京ファッションタウンWANZA ARIAKE オープニングイベント空間演出

お台場のファッションタウンビルWANZA ARIAKEのオープニングイベントのアートディレクション&空間演出を担当。 プロデュース:ライトディメンション
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天井部にフリンジテキスタイルをたなびかせて、アトリウムフロアーよりレーザー光線、エフェクトライト、スモークと音響により演出。オープニングイベント用に光と音のシンクロシーンを特別に設計。定時にアトリウム中央天井に仕掛けられたシャワーツリーより、水の噴出イベントがある。建物は丹下謙三設計事務所。
by ardest | 2004-08-16 00:35 | Space&Display Design
■ 思いの一滴 第一回「空間をメディアとして語らせる」2001年12月1日                    
 それにしてもなぜあんなに人々が押し寄せるのだろうか? どうしてあんなにカップルが多いのだろう? こんなに不況なのに・・・同時多発テロだというのに・・・。
ここは、クイーンズスクエア横浜という複合施設の中央モールでの眺めである。桜木町駅から横浜港にかけ近年再開発され、いかにもモニュメンタルなランドマークタワーの足下に、ランドマークプラザとクイーンズスクエアーという日本でも有数のショッピングモールが軒を連ね、先端ファッションの覇権を争っている。

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 今年、私はクイーンズスクエアー横浜の真ん中にある巨大なアトリウムでクリスマスシーズン向けの空間装飾を担当した。ここのアトリウムは、明るく開放的で、きわめて居心地がよい。幅50m、奥行き30m、高さは地下4階の最深部から天井まで50mという規模で、国内でも最大規模である。いくつかの大胆なアートワークと真っ赤なエスカレーターや深緑のシースルーエレベーターなどが白を基調にしたアトリウムに小気味よいコントラストをもたらしている。空間そのものがすでにアートとして成立していて、おそらく世界で最もファッショナブルでモダンなスペースの一つであるといえるだろう。

 私の取り組みは、ほぼ完成されたこの空間をさらに演出し、クリスマスの宗教的な崇高性と、年間最も人出と売り上げが多いこの時期の商業的な高揚感を醸し出す機能が、両立した空間に変容させるということである。空間をコミュニケーションメディアとしてデザインし直し語らせる、というのが私のプロとしての仕事なのである。今回は幅2.2mの難燃ポリエステルの布地を赤白に染め上げ、総延長700mを天井トラスからつり下げ構成した大型リボンのような曲線を生かした造形で、アトリウムの広さとボリュームをさらに強調した。その空間本来の豊かな量感と崇高感を観客に感じてもらい少しでもリッチな気分を味わってもらえれば成功である。

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 そもそもキリストの降誕祭であるクリスマスが日本に定着したのは、土着の冬至祭の時期と重なり、違和感が少なかったという事と、もう一つ、宗教の戒律や教義よりも、スタイルやファッション、お祭りを好む柔軟な姿勢が作用しているようだ。原理主義とは全く逆で、いいとこ取りで現世利益の追求が最も多くの人々を幸せにする結果につながるということの理解である。

 一見、無責任で無節操のようであるが、実はこの柔軟性と多くの価値を取り入れる、なによりさまざまな事に興味を示し面白がるという感性こそが、世界でもまれな幸せな国「日本」を形成する基盤となっているように思えてならない今日この頃である。                 

ヤマザキミノリ


■作品サイト 1 ヤマザキミノリのインターネット美術館-1 空間デザイン、環境造形、展示設計"Christmas Decoration, Display Design, Public Art, Installation, Art works"
■作品サイト 2 ヤマザキミノリのインターネット美術館-2 ライトアート、立方体万華鏡、オブジェ、インスタレーション"cumos, Light art, CG, Installation"
by ardest | 2004-08-12 22:42 | comments
美術出版社[デザインの現場] 1988 「空間の表現者たち」特集掲載

●高野山との出会い  ヤマザキミノリ (空間企画・スペースデザイン・アートワーク)

 昨年九月、事業拡大をめざして新事務所を代々木上原に開設し、まもなく名称を芸術本舗文殊と決めた。メンバーのヤマザキ、森村均、姉歯公也が、芸大出身というアカデミズムに対するアイロニーと、今日の高付加価値で多種多様、かつ総合的なデザインビジネス、イヴエントビジネスに対する果敢なる挑戦の意味を込めて命名したっもりである。ようするに、おもしろくて前向きなことならなんでもやる気の事務所である。
 半月ほどたったある日、電話がなった。「ヤマザキさん、高野山の落慶記念イヴェント、やりませんか」。有名なプロデューサーS氏の声である。「高野山のイヴェント?やります!なんでもやります!おまかせください」ということで、港区高輪にある高野山東京別院という、真言密教のお寺の仕事が飛び込んできたのだ。文殊に高野山。なんという巡りあわせだろう。事務所開設以来、唱えていた「仕事どんどん無限依頼、お金ざくざく無限供給」の「文殊教」の御利益が現実になってしまったのだ。愚か者でも、三人よれば文殊の知恵、というあの諺を拝借したまでのことだったのに、アー願ったりかなったり。
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■ Internet Museum of Minori Yamazaki ヤマザキミノリのインターネット美術館
by ardest | 2004-07-29 01:20 | 高野山マンダラパビリオン
●総合的な世界観
 さっそく打ち合わせ。S氏いわく、涅槃の境地、解脱を感じる空間、非日常な悟りの世界をつくりたいとのこと。真言密教の思想、およびコスモロジーを空間化、パヴィリオン化するという課題だ。総予算約一億円。「ネハン、ゲダツ、サトリ?え、イチオクエン!」頭をひねってばかりはいられない。すばやくリサーチ。
 密教思想をひとことでいえば、大宇宙と個我の同一性ということになる。山川草木、国土は皆、仏性をもっているともいう。人間は、宇宙に包み込まれているが、人間ひとりひとりのなかにもまた、大宇宙が同時に存在する。ミクロコスモスは、本質的にマクロコスモスにほかならないのだという、まことにトータルな思想なのである。「フムフム……」。
 この総合的な世界観が密教の特徴で、近代西欧文明の、どちらかというとぎこちない分析的、絶対的な価値観になれてしまったわれわれに、もっとゆったりとした、全体的なものの見かた、直感的、感覚的なものの把握法を教えてくれる。現代人に欠けている自然との連帯感、宇宙との一体感といった、原初生命のパワーを取りもどすという意味で、いま密教が新鮮さをもちえるようだ。「ナルホド!」。

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曼荼羅パビリオン
高野山東京別院落慶記念法要 マンダラパビリオン1998
デザイナー:ヤマザキミノリ 芸術本舗文殊
プロダクション:ゼンザブロウ、施工:清水舞台、 制作:電通

by ardest | 2004-07-29 01:16 | 高野山マンダラパビリオン