(c) 2016 Minori Yamazaki -Japanese Artist-


by ardest

マンダラパビリオン ●両界曼陀羅と五大

●両界曼陀羅と五大
 真言密教には、両界曼陀羅と五大という、たいへん意味深いふたつのテーマがある。そして、両堺曼陀羅の宇宙観の対比関係が、ひじょうにおもしろいのだ。
 胎蔵界曼陀羅は、母親が胎児を慈しみ育てるような、仏の慈悲の心で衆生を救済する精神。暖かく、愛に満ちた子宮=宇宙そのものといった世界観。これにはドーム空間をあててみた。曲面体、球体を利用することで、床周辺からの天上界全体への調光や、包み込まれるようなメロディー中心の音場設定など、環境演出が可能となるからだ。おまけに、レーザー光線のスキャニングにもつごうがよい。これらによって観客に、あたかも胎児が子宮壁を垣間見ているかのような視点、あるいは宇宙と個我との一体感を提供しようというのが、最大の狙い目である。
 対照的に、金剛界はピラミッドのような直面的、構築的な空間感だ。事実、ピラミッド型パヴィリオンで、内面をぜんぶ鏡張りにすることにより、結晶構造のように四方へ拡がる異次元空間、クリスタルラビリンスが表現でき、ダイヤモンドのように堅固な悟りの心を表せる。色彩としては冷たい暗緑色、サウンドとしては、規則的に繰り返すリズム。床に置かれた、九つの台形に組み込まれたモニターが、デジタルな光となって、ミラーに反射を繰り返す。
 論理的な知恵と精神。規則正しい透明感と統一感、といった金剛知の世界が具現できたと思う。
 五大とは、地・水・火・風・空いう宇宙を構成する五つの要素のことで、お墓にある五輪塔は、まさにそれを表したもの。ふたつのメインパヴィリオンをむすぶ回廊を、それぞれ風の回廊、水の回廊、地の回廊になぞらえてみた。
 そして入り口には、九会の映像のメインモチーフ、「サヌカイト」という二、三万年前にできたひじょうに緻密な岩をディスプレイし、物言の始まりを予感させた。と、ともにそれが胎児となり。仏の慈愛をうけ、やがて金剛知の悟りを開き、最後に五大となって宇宙へ帰っていく、という輪廻観をテーマにしたストーリー展開から、出口のホワイエには、五色の御影石でつくった五大を置いたのだった。
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 Minori Yamazaki's Internet Museum  ヤマザキミノリのインターネット美術館 Internet Museum of MINORI YAMAZAKI
by ardest | 2004-07-09 13:19 | 高野山マンダラパビリオン